アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ (文春文庫)
- Jo Marchant (原著), 木村 博江 (翻訳)
- 2015年11月4日
- 読了時間: 2分

アンティキティラの機械。「好きなオーパーツは何?」と聞かれたら、私はコレでした。
そんな話をするのはうちの講師くらいです。そんな事聞かれたこともありません、うちの講師以外には。
しかし、この本を読むまで知らなかったのですが、アンティキティラの機械はオーパーツではないらしいです。
なぜ(おそらく)広く一般にオーパーツだと思い込まれたのかは、この本の中で少しだけ触れています。
そんな事にも触れつつ、過去にこの海からの発掘物を研究した人達がどの様な方法で調べ、この機械が何だったのかという結論を出していったのかを述べています。
驚いたのは、最後に出された論文は2000年代後半、しかもnatureで出しています。思ったより最近の話で、ちゃんとした論文だった事に驚きました。
残念なのが、referenceのような物がないので、筆者が論文を読んだ上で本を書いたのかどうか分からないことです。
結構会話での表現も多かったので、作者もシンポジウムなんかに参加していたのかもしれないですけどね。作者は元々natureなんかの編集者だったようなので。
また、発掘物の調査には生物学等の研究とはまた違ったルールがあったりするようで、こういった分野の違う本を読むのは色々と違う部分が見れて面白いです。
実際に機械について研究した彼らがどんな技術・知識を以って、どんな結論を出したかはここでは挙げませんが、発掘物の研究というのは時に歴史だけでなく数学、工学、天文学、哲学などの知識も必要で、私が想像していた以上に多岐に渡る見識を持っていないといけない事も知りました。
アンティキティラの機械が作られた遥か昔の時代、この機械を考えた人間もこういった様々な分野の知識を持った人間だったのかもしれないですね。
オーパーツの本だと思っていたら、全く違う方向へと思考が行って面白かったです。
科学の話をしつつ、オーパーツによく似たロマンを残す。私にとってはそんな一冊でした。
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